野尻湖発掘の歩み

湯たんぽ?? それは偶然の発見!

1948年、野尻湖畔の旅館のご主人である加藤松之助氏が、野尻湖底でナウマンゾウの臼歯(きゅうし)を発見しました。当時は「湯たんぽ」にしては変だと思ってひろい、地元の野尻湖小学校の日野武彦校長にみてもらったところ、ゾウの歯ではないかといわれ、とっておいたのが発端でした。

まず掘ってみよう!

化石のでた地層を検討していた研究グループの人たちが湖畔で議論をしていたところ、「議論ばかりしていないで、掘ってみたらどうか。まず実践だ」という古生物学者の井尻正二氏の提案があり、発掘することが決まりました。1961年、始めての発掘の前の年のことです。

野尻湖発掘がはじまる!

1962年3月に第1次野尻湖発掘がはじまって、2018年までに22回の湖底発掘を行ないました。発掘調査は専門家だけではなく、全国各地から集まった小学生から大人まで多くの方の参加や協力があり、沢山の遺物が発見されました。その発掘の歩みを年次別にご案内します。

野尻湖発掘(湖底・陸上)年表

発掘 おもなことがら 発掘品数 参加人数
1948 加藤松之助さんがナウマンゾウの臼歯を発見。
1961 湖畔の議論。
1962 第 l次発掘 ナウマンゾウ・ヤベオオツノジカの化石を発見。 20 70
1963 第2次発掘 放射性年代の測定と花粉分析によるウルム氷期の確認。 70 150
1964 第3次発掘 最初の旧石器剥片の発見。 77 200
1965 第4次発掘 ナウマンゾウの頭骨の一部を発見。8.5メートルの材木化石の発見。 315 400
1973 第5次発掘 「月と星」発見。ナイフ形石器・骨器の発見。専門グループの発足。 1402 1107
1975 第6次発掘 ビーナス像(?)、生痕化石の発見。ラミナ掘りはじまる。友の会発足。 10154 3672
1976 第1回陸上発掘 ナイフ形石器と乾痕の発見。 1217 377
1978 第7次発掘 友の会単位での発掘参加、ナウマンゾウ頭骨の発見。昆虫化石の発見。 8174 2897
1979 第2回陸上発掘 土壙・爪形文土器・台形ナイフの発見。 1868 327
1981 第8次発掘 2.4メートルの牙・ヤリ状木質遣物の発見。骨製スクレイパーの発見。 8384 2897
1982 第3回陸上発掘 約2万年前の湖岸線の発掘。隆線文土器の発見。 2261 344
1984 第9次発掘 キルサイト確認、スパイラル剥片、糞石(?)発見。 8429 2377
1987 第10次発掘 骨製クリーヴァー(ナタ状骨器)の発見。 7872 1969
1990 第11次発掘 ナウマンゾウの足跡化石の証明。 5568 1672
1993 第12次発掘 線状痕(解体痕?)のあるナウマンゾウの肋骨の発見。 4033 1498
1994 第7回陸上発掘 野尻湖文化の石器発見。 1152 243
1997 第13次発掘 たたき石、ナウマンゾウ上腕骨の発見。 2485 855
1998 第8回陸上発掘 野尻湖文化の石器集中してみつかる。 1008 186
2000 第14次発掘 化石の産状を詳しく観察する調査法をはじめる。 1998 573
2003 第15次発掘 昔のなぎさの場所を発見。 2274 482
2006 第16次発掘 ニホンジカの足跡化石の発見。 800 304
2008 第17次発掘 ヘラジカ化石の発見。 732 245
2010 第18次発掘 ナウマンゾウの切歯の発見。堆積環境の解明。 514 193
2012 第19次発掘 ナウマンゾウの臼歯、剥片の発見。 706 223
2014 第20次発掘 ナウマンゾウの肋骨や脛骨の発見。 754 192
2016 第21次発掘 ヤベオオツノジカの上腕骨片の発見。 648 205
2018 第22次発掘 ナウマンゾウの臼歯、肋骨群の発見。